株式会社INFLUX(星野敦代表)の洋上風力発電開発がもたらす地域創生・脱炭素社会/星野氏の想いとは?

2021年12月17日

INFLUX(星野敦代表)の洋上風力発電開発がもたらす地域創生・脱炭素社会/星野氏の想いとは?

「洋上風力発電」という言葉を耳にしたことはありますか?洋上風力発電とは、海洋上に設置した風車を風の力で回転させることで発電する仕組みのことです。温室効果ガスを発生させないため、エコフレンドリーな発電方法として近年注目されています。また現在話題の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に大きく貢献し、アフターコロナ社会を牽引する産業の一つです。

日本では2019年4月に「再エネ海域利用法」が施行されました。同法では、洋上風力発電事業の促進のため、ある一定条件を満たした一般海域内の区域における、最大30年間の占有権を事業者に認めています。また、菅義偉首相が2050年までに「温室効果ガス排出量を実質ゼロにする、カーボンニュートラルの実現」を宣言していることから、政府が本格的に再生可能エネルギーの導入に力を入れていることが分かります。

そのような中、洋上風力発電事業に精力的に取り組む注目のベンチャー企業が、 株式会社INFLUXです。本記事では、同社の洋上風力発電の特徴と、将来的に目指す地域創生や脱炭素社会、そして株式会社INFLUXの代表を務める星野敦氏についてもご紹介します。

株式会社INFLUX、星野敦氏が洋上風力発電に注力する狙い、想いとは?

INFLUX社が洋上風力発電事業に注目する背景には、同社代表・星野敦氏の発電事業にかける想いと、グローバルな視点で捉えた日本の再生エネルギー事情があります。

星野敦はどのような人物なのか?星野氏の実績や想いとは?

INFLUX社が国内ベンチャー企業の中でも、洋上風力発電事業に着目した過程には、同社代表・星野敦氏の想いが欠かせません。

星野敦氏はこれまで、アジア全域における太陽光発電を中心とした再生可能エネルギープロジェクトに約10年間携わりました。また、米国大手資産運用会社から直接投資 を受けるなどし、おおよそ1GWの開発実績もあげています。これまでの経験の中で星野敦氏は、再生可能エネルギーの可能性を確信すると同時に、日本国内における再生可能エネルギー事業の課題点にも目をつけました。

星野敦氏は、地産地消とはかけ離れた開発実態や外国メーカーによる日本市場の席巻に直面する中で、再エネ事業でも「脱炭素社会と地方創生を同時に実現できる洋上風力発電」に可能性を見出したのです。

「社会の役に立つ、地域の発展に貢献する事業をやりたい」という想いから、星野敦氏は2018年に株式会社INFLUXを創設しました。同社では「地域経済を後押ししながらもクリーンでグリーン、安全で持続可能なエネルギーのソリューションを創出すること」を理念に掲げ、国内複数の海域において開発を進めています。

世界と日本国内における再生可能エネルギーの実情

INFLUX社が再エネ事業の中でも洋上風力発電事業を選んだ要因の一つは、世界と日本における再生可能エネルギーの実情が関係しています。

日本の主要な再生可能エネルギーが太陽光発電であるのに対し、世界で主要な再生可能エネルギーは風力発電です。一般的に風力発電は、風が吹けば昼夜問わず24時間発電可能です。そのため、他の発電方法と比べても発電効率が高いと言われています。実際に太陽光発電の発電効率が約20%前後である一方、風力発電の発電効率は約20〜40%です。しかし日本では、山岳地帯における開発コストや、景観阻害・騒音など生活環境への悪影響から陸上風力発電には限界がありました。

そこで同社が注目したのが、洋上風力発電です。土地や道路の制約がない日本の広大な水域は、発電ポテンシャルが高く、導入のハードルが比較的低いとされています。また、洋上は陸上より風況が良く、発電効率が安定します。さらに、人間の活動区域から大きく離れた海域で行われる洋上風力発電は、景観阻害や騒音などの公害を軽減できるという利点もあります。

国土の分散電源化や地域の循環経済、日本経済・社会の一極集中是正にも貢献することから、洋上風力発電は将来性に満ちた、成長産業であると言えます。

洋上風力発電の雇用創出効果

INFLUX社の洋上風力発電事業により、雇用創出効果も期待されます。

洋上風力発電事業は開発スケールが大きいことから、世界的資産運用会社とのジョイントベンチャー設立し、株式会社INFLUXが発足されました。現在、グローバルに活躍してきた社員とともに、星野敦氏の長年の経験と知見を活かした幅広いネットワークによって、開発が実現しています。

2〜3万点もの部品を必要とする洋上風力発電事業では、製作所・鉄工所の協力も欠かせません。また約30年におよぶ建設期間と、設置後約20年にわたるメンテナンス期間では、長期的な関連会社との連携が必要となります。さらに開発に際しては、重量物に適した輸送船や風車組み立て用のSEP船など、物流に加え経営の管理・最適化・効率化を図った海上ロジスティクスが重要です。そして海上ロジスティクスを支える拠点港もまた、設置が求められます。

このように洋上風力発電の開発事業には、多種多様なアクターとの連携が不可欠です。部品の生産・手配から建設・メンテナンス、海上ロジスティクス業務を地元企業に依頼することで、地域経済の活性化、ひいては雇用の創出に貢献できるでしょう。

日本風力発電協会によれば、毎年1GW、10年間で合計10GWの洋上風力発電が導入された場合、雇用創出効果は約8.5~9.5万人、累積経済効果は約13~15兆円と試算されています。

実際に、ドイツやデンマークなどの洋上風力発電事業では、フルタイム雇用者の増加や失業率の低下が確認されているようです。また米国やその他欧州諸国でも、洋上風力発電事業がもたらす雇用創出効果・経済波及効果を見据えた、政府主導のプロジェクト推進活動が展開されています。

地域との共存共栄を目指す洋上風力発電

共存共栄を目指す洋上風力発電_INFLUX(星野敦代表)の洋上風力発電開発のメリットとは?

洋上風力発電事業を進める上で、開発地域との連携はマストです。地域との共存・共栄がプロジェクトの最大のテーマと言っても過言ではないでしょう。

海洋環境・漁業への配慮

洋上風力発電においては、海洋環境への慎重な配慮が必要です。

INFLUX社では地元地域の海洋環境を保護するため、「フルボ酸鉄」を人工製造しています。フルボ酸鉄とは、磯焼けに有効とされる、森林の腐葉土に含まれる化合物のことです。通常、フルボ酸鉄は雨などによって川に溶け込み、海へと運ばれます。海藻や植物プランクトンなどは、海中に運ばれてきたフルボ酸鉄の働きによって、養分である窒素を吸収できるのです。

しかし、近年のダム建設や浚渫などにより、川からのフルボ酸鉄の供給が遮られてしまうのではないかと危惧されています。養分を得られない海藻が衰退・消失すると、浅海の岩礁が真っ白に変色する「磯焼け」と呼ばれる現象が生じます。その結果、海藻だけでなく海藻を主食とする魚も減少し、漁業に悪影響が及ぶのです。

そこでINFLUX社の洋上風力発電事業では、人工のフルボ酸鉄を製造し、伊豆大島をはじめ約10年間、磯焼け対策と藻場の再生に向けた実証実験に参加しています。藻場の再生は、漁業の安定だけでなく、地球温暖化対策としても有効です。藻場は、大気中から海洋生態系に吸収され固定される「ブルーカーボン」を生産します。ブルーカーボンは、地球上に排出される約30%のCO2を吸収・貯蓄するとも言われ、温暖化対策に欠かせない存在となるでしょう。

フルボ酸鉄の製造の他にも、漁業の安定的かつ継続的な繁栄を目指した数々の取り組みを行っています。中でもAIを用いた水産業の「見える化 」は、デジタル社会の現代ならではの技術でしょう。INFLUX社が開発した”IOSS”は、AIを利用した漁場の予測サービスであり、燃費節約と収穫増に貢献しています。無駄なく確実に、効率の良い魚の収穫が可能となっているのです。

他にも、市場開拓・設備投資への支援や、発電施設の監視システムを利用した密漁対策、海のプラスチックごみ回収にも取り組む予定です。

以上のように、海域での開発がメインとなる洋上風力発電事業では、地元の漁業関係者との相互理解・協力が欠かせません。

地元産業・地域社会への支援

INFLUX社は、洋上風力発電事業による地域創生を目指しています。電力の供給はもちろん、事業によって地元産業や地域住民の社会生活を支援することが、同社代表・星野敦氏の強い願いです。

まず、地元自治体に対しては洋上風力の要である風車を観光資源とした、エコツーリズムを提案しています。デンマークにあるミドルグロン洋上風力発電所は、再生エネルギーを利用した観光業の活性化に成功した有名な一例でしょう。同発電所は、タービン間をボートで通過するエコツアーや風力発電体験施設などを設けており、観光客や地元学生に向けた学びの場として人気を集めています。日本からも視察団が訪問したり、EUが洋上風力発電と観光に特化したレポートを出したりと、エコツーリズムは今後も世界的に注目される産業です。

また、INFLUX社は産官学連携による人材育成も推進しています。洋上風力に特化した専門技術者の教育や、地元大学と協力した専門課程の設置、漁業振興に関する研究活動の支援によって、地方からの人材流出の防止や、U・I・Jターン就職の促進が期待できるでしょう。さらに、洋上風力発電により大規模災害時に、地域住民や区民館等地域施設へ無償で電力を配給できるようになります。

このように、INFLUX社が洋上風力発電事業を進める上では、地元産業や地域社会の支援が重要なファクターとなっています。そのため、地元自治体との定期的かつ綿密なコミュニケーションが必要不可欠です。また、全国各地で住民説明会を実施し、地域住民の声に寄り添った、丁寧かつ明瞭な計画の周知、事業の進行にあたっています。

洋上風力発電は脱炭素社会を牽引する

脱炭素社会_INFLUX(星野敦代表)の洋上風力発電開発のメリットとは?

INFLUX社の洋上風力発電は、デメリットをカバーしつつ、環境に優しい地産地消型の産業モデルを構築しました。その名も「カーボンフリーポート」構想です。

洋上風力発電は大規模かつ莫大な量の部品を必要とするため、開発には多種多様な海上ロジスティクスの確立が求められます。また、サプライチェーンのハブとなる拠点港の設置が欠かせません。そこでINFLUX社は、再生可能エネルギーを利用した大型水素プラントの建設を決定しました。

水素製造プラントでは、洋上風力によって得られた余剰電力から「グリーン水素」を製造します。グリーン水素は、製造・使用時に炭素が発生しないため、環境への負荷が少ない究極のクリーンエネルギーと呼べるでしょう。さらに、グリーン水素からグリーンアンモニアを製造する仕組みまで構想しています。

長期の輸送や保存ができる水素は、非常用電源として貯蓄したり、重化学工業に供給することで運輸・熱利用に用いたりと、分野横断的に活用可能です。

このように、カーボンフリーポート構想では全産業のゼロエミッション、地域のマイクログリッドの実現を目指しています。また、同構想は自然環境に左右されない安定・均一的な発電を可能にし、発電量の変動が大きい洋上風力発電の欠点を補います。

INFLUX社のカーボンフリーポートは、水素社会のモデルケースとして、日本から世界へ発信し続けるでしょう。

近隣住宅地域や生態系への影響

洋上風力発電事業に際しては、地元住民の理解・協力が欠かせません。大規模なエネルギー開発事業に対し、自身の生活への影響に不安を抱く声は少なくないでしょう。
そのためINFLUX社では、開発地域の風況・海洋調査や環境影響評価、利害関係者との調整を綿密に行っています。

計画段階環境配慮書では、計画段階配慮事項の選定、調査・予測および評価の結果について触れています。以下が項目ごとの評価結果と検討内容の例です。

【騒音および超低周波音】

  • 風力発電機の設置位置は、住宅や配慮が必要な施設からは十分な距離をとる
  • 風力発電機の機種(音響パワーレベル)の選定、配置および基数を事業者が実行可能な範囲で考慮する

【風車の影(シャドーフリッカー)】

  • 事業実施想定区域内および周辺地域の住居、施設の窓向きや遮蔽物等の状況を把握する
  • 日影図を作成し、機種の選定や配置を事業者が実行可能な範囲で考慮する

【動植物】

  • 空域を飛翔する動物、海域に生息する動植物の専門家へのヒアリングと現地調査、状況把握を欠かさない
  • 工事中の水の濁りや水中音による影響なども合わせた包括的な調査、予測と評価を行い、必要に応じた環境保全措置を検討する

【景観】

  • 可視領域図を作成し、景観の専門家へのヒアリングを適宜行いながら現地調査をする
  • フォトモンタージュや視角による予測および評価を行う
  • 垂直見込角が10度以上となると眺望景観への影響も考えられるため、十分な距離をとり、事業者が可能な範囲で機種・色彩および配置を考慮する

このように調査・予測・評価を適宜実施し、配慮書から方法書・準備書・評価書の作成を順次行っています。また、関係省庁からのフィードバックも真摯に受け止め、計画のブラッシュアップも欠かしません。

株式会社INFLUX、星野氏が切り拓く洋上風力発電の未来

本記事では、世界と比べた、日本における洋上風力発電事業について紹介しました。
再エネの中でも洋上風力発電に着目し、精力的に取り組むベンチャー企業・株式会社INFLUXの試みは先進的であり、注目されています。

INFLUX社が洋上風力発電事業で実現したいことは、再生エネルギー による発電だけにとどまりません。開発事業の投資・経済波及効果による地域の雇用創出、海洋環境へ配慮しながらの効率的かつ安定的な漁業の支援、洋上風力による地域産業や人材育成の促進、カーボンフリーポートによる水素社会の実装など、可能性は無限大です。

新型コロナウイルスにより世界的な打撃を受けている現在、洋上風力発電事業は持続可能な新しい事業モデルの一つでしょう。また、地域創生と脱炭素社会実現の鍵として、長期的に成長を続けていくと考えられます。

今後も株式会社INFLUXと星野敦氏の洋上風力発電事業からは目が離せません。

Posted by user180